ビジュアルマーチャンダイジングコーチ加納達郎の売れる仕掛創り
本音仕掛け
一方『買い場』は、来店されるお客様に対する『問い掛け』が網羅されています。
例えば、○こんな使い方はいかがですか?
111111○こんなコツはご存知でしたか?
111111○こんな組み合わせはどうですか?
111111○こんな体験してみませんか?など
そこには『仮説』提案をもって、お客様の『本音』を聞きだす『仕掛け』が計画的且つ組織的に配置されているのです。
言い換えれば、お客様に『学習』する機会を創り、真のニーズを引き出す『呼び掛け』が仕掛けられているのが、『買い場』なのです。
VMDは、この『問い掛け』や『呼び掛け』などの仕掛けが目で見てわかるようにすることでもあります。
体験視供
今、店で買い物をする時間の価値が変わってきています。これまでは単にモノを消費するための時間でしたが、今では『体験』を消費するための時間にシフトしているのです。
○ちょっと立ち寄った時に見た
○話題のコトにタイミングよく出会った
○知りたかったコトに触れることができた など、お客様は何らかの『体験』ができることに、自分の時間を使う価値があると考えてはじめているのです。
それは例えば『食』であれば食材や料理法、『美』であれば美材や美容法などの、いわば『情報』を目で見て確かめることができることから始まります。
情報という価値が体験できるように、目で見てわかるように供されていること、ここにVMDの効用のひとつがあります。
専門集約
『何かに徹しきる』時代です。
あれもこれもはダメ、スパッと余分なものを切り落として絞り切ることです。そこはまさに『100%』の視点世界です。
例えば100%天然素材、100%有機農法、100%女性だけプロジェクト、100%スニーカー専門店、100%ハンドメイドなど、100%と言い切れる『混じりっけなしのリアリティ』が、それです。
多様化する消費形態に迎合して何にでも対応しようとする玉虫型コンセプトはかえって逆効果で、お客様の深化するニーズに対応できないのです。
曖昧さのない集約性と専門性が、情報過多の市場を一点突破して、お客様の購買意欲をかきたてます。『100%コンセプト』こそが、お客様に強くアピールできる戦略のひとつです。
余白効果
例えば、美術館での絵画の展示間隔の空きや高級宝飾店でのショーケース内の宝石の陳列間隔、そして水墨画の計算された空間などはいずれも商品そのものや訴求したい部分を強調して見せるために『余白効果』を活かしたものです。
12312商品の特性にマッチした『適度な余白』は商品の付加価値をお客様に
12312より的確に伝えるために不可欠なものです。
12312同じカテゴリーでも密度の高い集積で見せる陳列と、『間・マ』をとって
12312きれいに見せる陳列と使い分けることが肝心です。
高単価商品や是非お客様に使っていただきたい高付加価値商品は『余白効果』を活かして陳列しましょう。そうすることでお客様の『気づき』を生み、購入していただく『きっかけ』を創ることが出来ます。
客寄具現
小売店で『お客様の視点に立って』とは良く聞くが、掛け声だけに終わり実際に具現されていることは稀のようだ。しかし業績好調の餃子の王将ではお客様寄りの策の具現を貫き続けている。例えば、こんなことが行われている。
1212◆店舗の立地に合ったメニューの考案や提供、そして価格の設定は店長の裁量
1212◆ファミリーが多い店では似顔絵持参で餃子一皿無料
1212◆周辺に町工場の多い店では健康を考えてサラダバーを併設 など
大東社長曰く「その町で愛される店、それが一番なんです」と。
わたし達の店の買い場やサービスが、言うだけではなく、お客様個人が実感して納得して、満足できる内容で具現されているか、細部にわたっての見直しが必要です。
入り口創成
多くの新しいマーケットが生まれていますが、それは多くの初心者を生むということになります。店頭には、毎日見知らぬ初心者が数多く来店されているのです。誰でも最初は初めてであり、未体験の境地にあり、期待と不安を持って来店されます。そんないわばビギナーに対しては、次の2つの『おもてなしのサービス』がポイントになります。
1.親切に、楽しくして差し上げる
2.見てわかりやすくして差し上げる
つまりハートフルな対応と環境、そしてわかりやすいVMDで、満足していただくようにするということです。永遠のファン客も最初は未知のヒトだったわけです。お客様創りのポイントは、まず『入口を創る』ことにあるのです。
予告仕掛
今、生活者の購買意識の変化とともに、VMD展開時のPOPの告知スタイルが変わりつつあります。例えば、不安感を増長したり、コレ!と決め付けたり、効能を誇大に表現したりすることには、もはやお客様は反応しなくなっています。
お客様が期待しているのは、『楽しさ』が予感できる告知スタイルなのです。
○シミがなくなるとこんな楽しいコトが・・・
○この指輪をつけるとこんな楽しいコトが・・・
○この車に乗るとこんな楽しいコトが・・・・
その後にきっと起こるであろう『楽しいコト』をコピーやイラストで端的に表現し、そのスペースを割くことがPOPのキモになっています。お客様に楽しさを予告するPOPで仕掛けることが、これから流のVMDのひとつです。
視覚編集
視覚的に計算された整然とした構成で、一品一品がわかりやすい陳列は『素材型VMD』で、規則的な構成美でお客様にアピールします。一見面白みがないようですが、この規律性こそがVMDの根幹を成します。一方、『レシピ型VMD』はお客様の購買テーマやニーズに即応して必要な素材をタイムリー 一方、『レシピ型VMD』はお客様の購買テーマやニーズに即応して必要な素材をタイムリーに集積して、その使い方やコツ・ヒントなどを、目で見てわかるように丁寧に、しかもダイナミックに組み合わせたものです。前者は『全体美』であり、後者は『変化美』でもあります。
淡々と陳列された構成にプラスして、『変化提案』を計画的に組み入れて、お客様の目を引き、興味を喚起する、意図的な『視覚編集』がVMDの成否を決めるポイントの一つです。
男性美容
10余年前のマーケティング本に「いずれ男性も化粧する時代が来る」とあったが、いよいよ顕在化が進んできている。先駆グループはエステやサロン通いだが、堅実グループは家で簡単に、しかも手軽に取り組める『ホームビューティ』が主流。なかでも関心が高いのは①まゆ ②ニオイ ③保湿 ④爪の順。 まゆは『見た目の第一印象』に大きく影響し、腋、足、体のニオイも好悪印象の重要な鍵。そして手入れの行き届いたうるおう肌は若々しさを演出し、爪は名刺を手渡す時や商談メモをとる時にチェックされている。ビジネスシーンだけではなく、男性自身が『女性に見られて判断されている』という意識の高まりが、男性美容に拍車をかけている。『間口の狭いマーケットには、奥行きの深さがある』。従来売場の見直し再編が必要である。